実績・実例

フィールビートでは打ち手や手段の前に、クライアント様の課題やありたい姿を精査、分析したうえで戦略を組み立てていきます。

 

そこで、この「実績・実例」では、フィールビートがおこなう戦略実行プロセスの全体像を実例でご紹介いたします。目標達成に向けて、クライアント様と共に悩み、思考し続けるフィールビートのマーケティングをご理解いただけるように包み隠さずお伝えします。

実際におこなったマーケティングのご紹介

以下に長い文章が続くので書いてある内容をまとめると、

 

「講座の集客のために出版事業をゼロから立ち上げ、2冊が1セットになった新しいコンセプトの書籍と講座のDVDを全国の書店に流通させることで目標売り上げを達成した」

 

という案件です。

 フィールビートが、コンサルティングをしていたビジネスブレークスルー(BBT)大学院大学の株式資産形成講座で実際に行ったマーケティングをご紹介します。

 

 この案件のミッションは、講座にお客さんを入れ目標売り上げを達成すること。しかしWEB広告の費用対効果も悪くなってきている頃のお話です。


 2007年の夏に大前研一さんの書籍「心理経済学(講談社)」が秋口に発売されることが決定し、それにあわせてマーケティング戦略を考えていました。この書籍は講談社が独自で販売するので協働することは難しく、BBT大学院大学側で間接的にタイミングだけあわせてマーケティングをするという選択肢しかありませんでした。


 そこで考え出したのが「自社で本をつくり、心理経済学の本の横に置く」というコバンザメのような戦略でした。マーケティングとしては講談社がしっかりとお金をかけてやってくれるので、自社本については販促費用は少なくて済みますし相乗効果で売れるだろうと踏みました。


 内容は、急に大前さんが書き下ろすわけにはいかないので、ある材料の中で考えるしかありませんでした。そこで大前さんの寄稿記事などを会員の方向けに販売している大前研一通信の記事から、資産形成に関する記事を抜粋して「金言集」という形でつくろうと思いました。


 それから他の出版社をまわり、書籍を作りたいと打診しましたが、期間やタイミングの問題でこちらが思うように出せないことがわかりました。また、ある出版社では自主出版のかたちで出せましたが、費用が高額だったため費用対効果を考えると断念せざるを得ませんでした。

 

 結局出版社でつくることが難しいということがわかり、悩みに悩んだあげく思いついたことが「自社で出版社を立ち上げればいいのでは」ということです。早速調べてみると印刷のコストはビックリするほど安かったのです。あとは、編集と構成をフリーランスでされている方にお願いして、ブックデザイナーを探しました。あわせて書籍の原価を計算し出しましたがなんと200円ほどでした。これなら書籍の価格が下げられるので顧客が手に取りやすくできます。ここまでである程度いけるとふんだ私は戦略を具体的に描くことにしました。

 

●書籍とDVDを一緒に販売する


 戦略を考える中で思いついたのが、DVDも同時に発売してしまうということです。そして、顧客がどう行動するかのユーザーストーリーも考えました。


 ・まずお客さんは認知のある心理経済学を購入するために書店に向かいます。

 ・そこで、隣に置いてある「マネーハザード金言集」を見つけ、ぺらぺらめくり「この値段にこの内容なら安い」と購入していきます。

 ・そして「マネーハザード金言集」を読み終わるとDVDについて書いてある差し込みチラシを見て、「映像で大前さんの講義が見たい」とDVDを購入します。

 ・DVDを観終わると、将来への不安が出てきて資産形成について真剣に考えるようになります。

 ・最後に、DVDの差し込みチラシにある「このDVDを観た人だけに期間限定で受講料を割り引き」という文言に背中を押されたお客さんは講座に申し込みます。

 

以上が、簡単なユーザーストーリーになります。フィールビートではこういったストーリーをしっかりとつくったうえで戦略を実行していきます。(因みにこの時点でストーリー通りにいくか小さく仮説の検証もします)


 DVDの販売も決まりました。もちろんこれも撮り下ろしだと時間的余裕もなく実現が難しかったので、実際にある講座の内容からピックアップし、まとめたものを販売することにしました。価格は、DVDの値頃感をリサーチした結果、心理経済学発売記念特価で2,500円ということにしました。
 この時点でDVDが売れるイメージはある程度できていましたが、書籍のほうは値段のインパクトだけで売るのは難しく、もう1つ良いコンセプトが必要でした。

 

 そのため、様々な方にインタビューをして、どういう時に本を買うか?また、どういう本なら買いたいか?などを聞いてまわりました。そこで発見したことは「本にはプレゼントの需要がある」ということです。調べてみてわかったことは、本を自分で読むだけでなく、良いと思った本を他の人にプレゼントする方が意外に多かったのです。そこに消費者の意外なインサイトが隠れていました。

●2冊で1セットとする「プレゼントBOOK」

 

 そして思いついたのが、2冊で1セットとする「プレゼントBOOK」というコンセプトでした。良いと思った本はプレゼントしたくなるのだから、予めプレゼント用の本もセットにして販売しょうと思ったのです。同じ本を2冊入れてもコストはそんなに膨らみません。そこで2冊をセットにして本のカバーにくっつけて販売することにしました。


 顧客へのメッセージは「一つは自分。もう一つは貴方の大切な人へ」としました。調べてみるとそのような形態で売るのは日本で初ということがわかり、自信をつけていきました。

 

 一番苦労したのは、流通の部分です。出版業界は「取次制度」(大手は日販やトーハンなど)というものがあり、書店と出版社の間に入っています。その取次が契約してくれないと流通させることはできませんでした。いくら有名な大前さんが代表の会社だからといってなかなか契約はしてくれません。しかし諦めずいろいろ調べてみると取次に取次する「中取次」というものがあることがわかり、無事にその中取次と契約することができ、無事流通することができました。

 

●いかに売るのか?


 いよいよ書籍を作る、流通される、という部分については問題なくできました。あとは売る仕組みだけです。書店は「委託販売」がメインなので、新刊を店内に置いておいて売れ行きがいいものだけ残して後は返本する、という売り方がほとんどです。もしも、売れ行きが悪ければすぐに返本されてしまうのです。

 

そのためには、出版社の営業力が重要なわけです。これも大きな問題でした。というのも「心理経済学」の本を講談社が営業するついでに金言集をすすめてくれるわけもありません。自分たちでやるしかないか・・・。と、調べてみると全国の大型書店は300店舗もあり、マンパワーを考えると現実的ではありませんでした。


 しかし、需要があるところに商売があるのです。調べてみるとやはりありました。それが書店営業を代行してくれる会社でした。一店舗あたりで営業して費用は数千円、というわかりやすい金額でやってくれていたので、すぐにお願いすることにしました。


 あとは、得意とするWEBと書店を絡めたマーケティング戦略です。そこで考えたのが、書店さん向けのマーケティングとして無料配布用DVDを作り、「BBTブックフェア!対象書籍を購入してくれた方には、特別DVDをプレゼント(販売用とは違う内容)」という企画を書店に提案するようにしました。WEBでもその映像をストリーミング映像としてプレゼントするキャンペーンを打ち、WEBと書店の双方でマーケティングを進めていきました。

 

「プレゼントBOOK」マーケティングの結果


 あっという間にブックフェア開催店舗は100店舗を超え、WEBのキャンペーンも大好評でした。それに伴い書籍も売れていき、丸の内オアゾや紀伊国屋新宿店、三省堂本店などでビジネス書1位を記録。中には「心理経済学」を抜くところもあったほどです。

 

 さて、このマーケティングの当初の目的はなんだったでしょうか?そうです、講座に集客することです。それはどうなったかというと、まさしくユーザーストーリーで思い描いた通りの動きになり、その年の目標も無事に達成することができました。

 

 しかし、まだ続きがあるのです。書籍は通常であれば売れ残ると書店から返本され、在庫として最終的に裁断されることがほとんどなのですが、今回の書籍はカバーを取ると2冊の冊子になるので、そのバラバラにした冊子を大前さんの講演会で無料で配ることにしました。そのため、返本された書籍も無駄にすることなく全てマーケティングに使えました。その他にも、DVDの売れ残りについては顧客のアンケートリサーチ特典として活用し、有益なデータをたくさん集めることができました。つまり、このプロジェクトでは全てに無駄なくマーケティングし、成果を収めることができたのです。

この一連の出版のマーケティングがきっかけで、書籍のマーケティングをすることが増えてきました。その結果、以下の書籍の出版に関わることになりましたので、それも記載しておきます。

・頭のいい人が儲からない理由 坂本 桂一  著(講談社)
・どんな仕事も楽しくなる3つの物語 福島 正伸  著(きこ書房) 
・「先読み力」で人を動かす 村中剛志 著(日本実業出版社)
・すぐやる!すぐやめる!技術 平本あきお 著(こう書房)

・探究する力 市川 力 著(知の探究社)

 

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